「バーデン」とはドイツ語で入浴することを意味する。ローマ帝国時代、オース川の谷間に湧く温泉を見つけたローマ人が多くの浴場を築いた。バーデン・バーデンと称され高級保養地となったのは18世紀後半のことで、夏場には各国の王侯や政治家、ブラームス等の音楽家やドストエフスキー、マーク・トウェイン等の文人たちが避暑を兼ねてこの地に集った。シュヴァルツヴァルト(黒い森)の北部に位置する。約40キロ南西にフランスのシュトラスブルク、30キロ北にカールスルーエ、約90キロ南にフライブルクが位置している。

いくつかある中で私が選んだ浴場はフリードリッヒ浴場(3時間使用で21ユーロ)で1877年に完成。間違いなくヨーロッパでは非常にユニーク且つ温泉愛好家にはたまらない浴場だ。131年前、フリードリッヒ浴場がローマ浴場跡に建設された時、温度の異なるさまざまな温浴を楽しむローマ文化と熱気浴の伝統を持つアイルランド文化を融合させた。神が我々を創造した時の姿で、男女共用(曜日によって使用コースが違う)で、案内に従って各々異なる17のコースを巡るシステムとなっている。コース毎に温泉水や浴室の温度が異なっており、各種の温泉水は身体や魂を癒してくれる効果があると言われている。                                          出典:The Roman-Irish Bath & baden-baden
深度2000メートルの地下から湧き出る、天然のミネラル分が多く含まれる温泉は摂氏50〜68度。岩石から主に塩化ナトリウムを吸収しており、他にはリチウム、セシウム、珪酸、硼酸、マンガン、マグネシウム、コバルト、亜鉛、銅なども微量ながら含まれている。これらのミネラル分が治癒力を与える効力があるとされている。心臓の病、血液循環機能の障害、代謝疾患、気道障害などに効力があり、筋肉、関節、皮膚などの血行を促進させる効果があると言われている。

温浴体験の曜日は土曜であった為、7から11までのコースにおいて男女が共用ということであった。若い女性は間違いなくいないであろうと推測していたが、ハズレであった。コースを進む中、確かにコース7の浴室には女性の姿が複数見え始めた。驚いたことに次のコース8では若いカップルが比較的多くおり、2−3人の若い女性、2−3人の若い男性という組み合わせで温浴中であった。一度に複数の西洋人の若い男女の裸体をこれほど間近で見るのは生まれて初めてであり、ワクワクすると同時に、見知らぬ小さな東洋人の男(私のこと)がそばに座ろうが動ぜずといった女性たちの面持ちに感動もした。まさに西洋と東洋の感覚の違いを体感!であった。この時ほど視力の悪さを憎んだことはなかった。蒸気で直に眼鏡レンズが曇ってしまい、レンズを指で拭いたところで効き目がなく又、眼鏡のフレームを伝って蒸気熱が目の周りを熱くさせる為、絶えられず外さなくてはならなかった。因みに私のように1人で温浴というのは稀であった。

その昔、ここで温浴をされたアメリカの文豪マーク・トウェインは、後に友人に書き記す。「ここ、バーデン・バーデンのフリードリッヒ浴場では、10分すると時間を忘れ、20分後には世界を忘れるよ。」 一度試されることをお勧めします。
ここを訪れた多くの人たちに新たなインスピレーションを与えてきた不思議な空間でもあるようです。

                              =曜日毎の男女使用設定=
                        ◆月曜日と木曜日⇒10と11のコースのみ男女共用
                        ◆日曜日と公休日⇒全てのコースを男女共用
                        ◆火・水・金・土曜⇒7から11までのコースが男女共用

                               =各コースの特徴=

 @シャワー浴室  A暖気浴室54℃  B熱気浴室68℃  Cシャワー
 D石鹸洗浄ブラシ按摩  Eシャワー  F熱蒸気浴室45度  G熱蒸気浴室48度
 H温泉浴室36℃  Iドーム型大浴場  J温泉浴室28℃  Kシャワー
 L冷水浴室18℃  M乾燥室  Nモイスチャークリーム施し室  Oリラックス室